ステーブルコイン決済が45%急増、供給は停滞:価値を握るのは誰か?
ステーブルコインの決済量は年初来で45%急増したが、ステーブルコインの総供給量はほぼ横ばいのままだ。この乖離は、ステーブルコイン経済における根本的な転換を示している。力は発行体から流通事業者へと移りつつあるのだ。
大いなるデカップリング
これまで、ステーブルコインの成長は時価総額で測られてきた。流通するコインが増えるほど、TetherやCircleといった発行体は準備金の利息からより多くの手数料を稼げる。しかし、供給の増加を伴わずに決済量が急増するにつれ、収益モデルは覆されつつある。発行体はフロートからの収入が減り、取引所、決済プロセッサー、ウォレット、DeFiプロトコルといった流通事業者が取引手数料やイールド戦略からより多くの価値を獲得している。
このデカップリングはいくつかの要因によって進んでいる。第一に、ステーブルコインは国境を越えた決済や送金でますます利用されており、そこでは供給よりも流通速度が重要となる。第二に、DeFiプロトコルは既存のステーブルコインを再利用する効率が高まっており、新規発行の必要性が低下している。第三に、主要な法域における規制の明確化により、機関投資家が多額の残高を保有せずに決済にステーブルコインを使うことが促されている。
誰が勝つのか?
恩恵を受けるのは流通事業者だ。ステーブルコインの取引ペアやイールド商品を提供する暗号資産取引所は、あらゆる取引で手数料を稼いでいる。加盟店の受け入れを促進する決済プロセッサーは手数料の一部を得ている。そしてステーブルコインを貸し出したりステーキングしたりするDeFiプロトコルは、ユーザーにイールドを生み出しながらスプレッドを確保している。一方、発行体は取引量に対して準備金収入が減少するため、利益率の圧力に直面している。
この変化は競争環境に深い影響を及ぼす。発行体は収益性を維持するために、サービスへの多角化や流通チャネルの買収が必要になるかもしれない。すでにその方向へ動き始めている例もある。Circleによる決済プロセッサーの買収や、Tetherによる取引所への投資がその例だ。
今後の展望
ステーブルコイン市場は、供給主導型から需要主導型のモデルへと成熟しつつある。決済量が増え続けるなかで、勝者となるのは顧客接点を握り、シームレスで低コストの取引を提供できる者たちだ。流通ネットワークを構築したり提携したりして適応する発行体は生き残るが、フロート収入だけに頼る発行体は苦戦するかもしれない。この静かな力の移行は始まったばかりであり、今後何年にもわたってステーブルコイン業界を再形成していくだろう。




