トークン化株式、非KYCウォレットにおける議決権問題が未解決
TREE NEWS 報道: トークン化プラットフォームSecuritizeの社長で、米国証券取引委員会(SEC)の取引・市場部門の元責任者であるブレット・レッドファーン氏は、トークン化株式市場における根本的なガバナンスの欠落を指摘した。トークン化された株式が非KYCウォレットに移転した場合、原資産の議決権を誰が掌握するのかについて、依然として明確な答えが存在しないという。
核心的な問題
トークン化株式は、上場株式の経済的エクスポージャーを再現しつつ、オンチェーンで決済されるよう設計されている。しかし、これらのトークンが本人確認を経ていないセルフカストディウォレットに入った時点で、法的所有権の連鎖は不透明になる。発行体はトークンの最初の購入者が誰かを把握しているが、二次流通後の保有者については可視性を持たない。
これによりガバナンスの空白が生じる。議決権行使、公開買付け、配当選択といったコーポレートアクションでは、発行体が適格保有者を特定する必要がある。許可型のKYCゲート環境ではこれは容易だが、オープンでパーミッションレスな環境ではそうはいかない。
RWAテーゼにとってなぜ重要か
現実世界資産(RWA)のナラティブ全体は、トークン化がTradFi級の権利とDeFi級のコンポーザビリティを提供するという約束の上に成り立っている。議決権が明確に割り当てられなければ、その約束は半分しか果たされない。機関発行体、すなわちトークン化がスケールするために必要とするプレイヤーは、ガバナンス権が法的なグレーゾーンに漂う構造を受け入れる可能性は低い。
- 法的曖昧性:指定された記録保有者がいなければ、発行体は誰が議決権を有するかを確実に判断できない。
- 運用上の摩擦:議決権の勧誘やコーポレートアクションはコストがかかり、エラーが発生しやすくなる。
- 規制上のエクスポージャー:規制当局は未検証の保有者をコンプライアンスリスクと見なし、承認を遅らせる可能性がある。
考えられる進むべき道
レッドファーン氏の暗黙の提言は、トークンが許可型の境界を離れる際に議決権をどう扱うかを、発行体が事前に定義すべきだというものだ。選択肢には、議決権を元のKYC済みカストディアンに割り当てる、ホワイトリスト化された代理人モデルを使う、検証済みウォレットへの譲渡性のみに制限する、などが含まれる。
それぞれにトレードオフがある。カストディアン管理の議決権は権力を集中させ、分散化の訴求を損なう。ホワイトリストはガバナンスの完全性を保つが、コンポーザビリティを犠牲にする。ハイブリッドモデル、すなわち議決権はKYCレイヤーに留めつつ経済的権利は自由に移動する形が、現実的な妥協点となるかもしれない。
今後の見通し
トークン化株式がパイロットプログラムから本番規模へ移行するにつれ、議決権の問題は哲学的議論から契約上の必然へと移行するだろう。非KYC保有者に対する明確で執行可能なガバナンスルールを公表する発行体が、機関投資家のマンデートを最初に獲得する可能性が高い。曖昧なままにする発行体は、自らが創り出すのに貢献した市場から締め出されるかもしれない。




